LPガス販売事業者を変更したところ、前のLPガス販売事業者からLPガス設備等の撤去費用の請求を受けました。このようなことは、法令上の根拠がありますか。
契約書等に設備の撤去費用が明示されている場合は、支払い義務があると考えられます。
液化石油ガス法では、消費者がLPガスの購入契約(販売契約の締結)をした際に、LPガス販売事業者が消費者に対し交付する書面(14条書面)に、LPガス設備の撤去費用の負担方法を記載することになっています。その書面の内容を確認してください。
また、別途契約書がある場合は、併せてその内容も確認してください。
わが家に取り付けられたLPガス設備のうち、販売事業者所有のものはありますか。
LPガス設備には消費者の所有物と販売事業者の所有物とがあり、維持管理責任はそれぞれの所有者が負います。
LPガス設備の所有関係とその維持管理責任は、基本的には、次のような設備区分になります。
LPガス設備はガスメーターのガスの出口を境にして、供給設備と消費設備とに区分されます。
一般的には、供給設備は販売事業者、消費設備は消費者の所有となります。
消費設備は販売事業者が貸与している場合もありますので、14条書面や販売契約書(設備貸借契約書)で確認してください。
維持管理も設備区分に基づいて行われますが、貸与された設備機器の使用は「善良なる管理者の注意」をはらって、消費者がその用法に従って行います。
貸与された設備・機器は、それを所有する販売事業者に無断で改造などや、他事業者への転用はできません。
販売事業者が「安全のため」に設置した器具などの費用も、消費者が負担しなければなりませんか。
販売事業者負担のものとお客様負担のものとがあります。
安全機器の設置費用の負担は、基本的には供給設備側は販売事業者の負担、消費設備側は消費者側の負担となっています。
消費設備とはガスメーターの出口から燃焼機器までの設備で、供給設備はガスメーターや調整器、LPガス容器などとその配管を指します。費用負担については、「料金制度」も参照してください。
消費設備が貸与となっている場合は、基本料金のほかに設備利用等料金として徴収されることもありますので、販売契約書などをよく読んで、その内容などに則って対応してください。
1年前に新築の建売住宅を購入してLPガスを利用しています。現在のLPガス販売事業者から別の販売事業者へ変更したいと申し出たところ、配管等の費用代として10万円を支払って欲しいと言われました。支払う必要がありますか。
ガス配管等の貸借契約を締結している場合は、支払い義務があると考えられます。
まず、次の点を確認して対応してください。
建売住宅の場合には、建物売買契約書の重要事項説明書を確認してください。ガス配管等がLPガス販売事業者の所有となっている場合は、重要事項説明書にその旨が明記されている場合があります。
LPガス販売事業者が配管等の費用を請求してくるのであれば、契約書等に基づくものであると考えられますので、LPガス販売事業者との契約書(設備貸借契約書、約定書、覚書など)の有無と、その内容を確認してください。
液化石油ガス法では、LPガスの販売契約を締結したときは、LPガス販売事業者が消費者に対しLPガスの取引方法等を記載した書面(14条書面)を交付することとなっています。その交付書面に、ガス設備(LPガス容器、ガスの供給側配管、消費側配管、コンロ等)の所有関係が記載されていますので、その内容を確認してください。
ガス配管等の貸借契約(設備貸借契約書)を締結している場合には、契約に基づいて清算する必要があります。
オール電化にしようとしたところ「ガス配管を撤去しなければ、オール電化割引料金は契約できない」と言われました。本当ですか。
ガス配管等を残したままでも構いません。
公正取引委員会・経済産業省「適正な電力取引についての指針」(2006年)では、電力会社は深夜電力料金やオール電化割引料金の適用にあたり、ガス配管の撤去を条件としてはいけないと指導されています。
電化工事に際しては、LPガス容器は現在のLPガス販売事業者が取り外しますが、配管はそのままで構いません。配管を外すと、オール電化で不便を感じても元に戻せませんし、再度配管するのは手間と費用がかかるからです。
ガスか電気かの選択は消費者の自由な意思によります。しかし、ガスを一切使用できない状態にすることは、結果として消費者のエネルギー選択の自由を奪うことになります。
 
LPガスの購入にあたり設備貸借契約書にサインを求められましたが、内容がよくわかりません。
販売事業者の所有するLPガス消費設備をレンタルする際の契約です。
LPガスの配管工事費用などは利用者が費用負担する場合と、販売事業者が負担し、ガスの購入・使用を前提として、利用者に貸与する場合とがあります。貸与が無償(無償配管)となるなど利用者に有利な場合は、ガスの長期契約期間など条件が設定されている場合があり、それらの取り決めは「設備貸借契約書」として書面で確約した方が、事後のトラブルが防げます。特に無償貸与の場合、解約時に設備代金の清算や設備の買い取り(売買予約)が決められていることがあるので注意が必要です。
住宅購入時や住宅建設時に、LPガスの配管工事費用をLPガス販売事業者が建設業者や消費者に請求せずに工事を行い、入居の後、消費者が販売事業者を変更しようとすると、そのLPガス販売事業者が配管工事費用を負担したことを理由として、配管の所有権を主張して、消費者との間で問題が発生しています。このことから次の点に注意してください。
配管費用について
ガスの販売契約の締結の際に、設備の所有関係について十分な説明を受けて確認しましょう。
上記と併せて、交付書面等の中の「設備の所有関係」の項にある記載内容を確認しましょう。
住宅購入・建設時における工務店等との契約書の重要事項説明の内容(ガス設備の費用負担等)について十分チェックし、上記2つの内容と照合しましょう。
LPガス配管設備の減価償却年数を教えてほしいです。
13年から15年です。
減価償却制度の耐用年数表によると、建物附属設備は15年、機械及び装置は13年となっています。一般に設備貸借契約等での減価償却はこの期間を基準としています。